支持すれば、彼は反対のほうを支持した。ついには彼自身がその矛盾のうちに迷い込んでしまった。そしてなおいっそうクリストフを途方にくれさした。けれども、人に反対したいという欲求や矛盾を好む傾向が、彼のうちにあるのではなかった。正理や良識を求むるところから必然に来たものだった。彼はあらゆる偏執の愚昧《ぐまい》さに不快を感じ、それに反抗しずにはいられなかった。クリストフがすべてを実際以上に誇張して、不道徳な行為や人物を批判する生《なま》なやり方は、オリヴィエには不愉快だった。オリヴィエも同じく純粋ではあったが、同じ一徹な鋼鉄からできてはいなくて、外部の影響にそそられ染められ動かされた。彼はクリストフの誇張に抗言し、そして反対の方面へ誇張した。彼はいつもそういう精神の癖から、味方に反対して敵の主張を支持しがちだった。クリストフは腹をたてた。彼はオリヴィエにその詭弁《きべん》と寛容を非難した。オリヴィエは微笑した。その寛容は空《うつろ》な幻をまとってるものでないことを、よく知っていた。クリストフのほうがはるかに多くのことを信じており、それをよりよく受け入れてることを、彼はよく知っていた。ただクリ
前へ 次へ
全333ページ中171ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング