きしめられるとりっぱにしてる。しかし向こうが支配する場合には、女にしてもユダヤ人にしても、とてもたまらないことになる。その下に服従する者どもは、それこそ物笑いの種である。」

 クリストフとオリヴィエとは、たがいに愛し合ってはいたけれど、また愛のためにたがいの魂にたいする直覚力を得てはいたけれど、それでも、おたがいによく理解のできない、おたがいに気を悪くさえするような、いろんなことが存在していた。友にもっとも似寄った自分の部分だけを存続させようと努力する友情の初期のうちは、二人ともそのことに気づかなかった。ところがやがて少しずつ、両民族の面影が表面に浮かび出てきた。二人はときどき気持の些細《ささい》な齟齬《そご》を感じ、たがいの愛情をもってしてもそれを避けることができなかった。
 二人は誤解のうちに迷い込んだ。オリヴィエの精神は、信念と自由と熱情と皮肉と普遍的疑惑との混合したもので、クリストフはその形体をとらえ得なかった。オリヴィエのほうでは、クリストフの心理の欠乏に不満だった。彼の知的な古い民族の貴族性は、クリストフの、強健ではあるが鈍重で融通がきかず、自己分析ができず、他人からも
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