黷演じている。不思議なことには、そういう実生活にたいする無欲さは、彼らのうちの多くの者に――かなり知力ありまた往々かなり真面目《まじめ》なのであるが――俳優となって生活を演ずるという、天性もしくは無意識的な願望を吹き込んでいる。そして彼らにとっては、それが唯一の生活方法なのである。
 モークもやはり自己流の俳優であった。彼は気晴らしのために活動していた。しかし、多くの者が利己心のために活動してるのに反して、彼は他人の幸福のために活動していた。クリストフにたいする彼の尽力は、感心なほどでまたうるさいほどだった。クリストフはいつも彼を冷遇し、そのあとでまた後悔した。しかしモークはかつてクリストフを恨まなかった。何事も彼の気をそこなわなかった。と言って、クリストフにたいして強い愛情をもってるからではなかった。彼が愛してるのは、身をささげてる相手の人々よりも、献身そのものだった。相手の人々は彼にとっては、善をなすための、生きるための、一つの口実にすぎなかった。
 彼は非常に骨折って、クリストフのダヴィデ[#「ダヴィデ」に傍点]と他の数曲とを、ヘヒトに出版させることにした。ヘヒトはクリストフの
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