である。音楽的な魂は、一つの美しい肉体を愛する時にも、それを音楽として見る。魂を魅惑する恋しい眼は、碧《あお》色でも灰色でも褐色《かっしょく》でもない。その眼は音楽なのである。魂はその眼を見て、快い和音と同じ印象を受ける。かかる内的の音楽は、それを表現する音楽よりもはるかに豊富である。そして楽器の鍵盤《けんばん》は、それを演奏する鍵盤よりも劣っている。不完全な楽器たる芸術が喚起せんとする生命の力、それによって天才は測られる。――しかしこのことを、フランスにおいてどれだけの人が感じているだろうか。化学者の集まりなるこの民衆にとっては、音楽は音響結合の術としか思われていない。彼らはアルファベットを書物だと思っている。芸術を理解せんがためには人間を抽出して除かなければいけない、と彼らが説くのを聞いた時、クリストフは肩をそびやかした。彼らはそういう逆説に、大なる満足を覚えていた。それでもって自分の音楽性が自認できると思っていたからである。グージャールまでがそうであった。この馬鹿《ばか》者は、音楽のページを暗誦《あんしょう》するためにはどうしたらいいか、かつて了解することができなかった。――(そ
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