心をした。しかしそんなことは平気だ。新しい表現が生ずるのだから。人体においても器官が欲求を生むと言われてるように、表現は常に思想を生むにいたるものである。要は表現が新しければよいのである。いかなる代価を払っても新奇を求めることだ! 彼らは「すでに言われたこと」にたいして病的な恐怖をいだいていた。最もひどい者になるとそのために身体不随に陥っていた。彼らはいつも、小心翼々として自分を監視することにつとめ、前に書いたものを塗抹《とまつ》しようとつとめ、「おや、これは前にどこで読んだのかしら……」とみずから尋ねようとばかりしてるらしかった。他人の楽句をつぎ合わして時間を過ごすような音楽家が、世には――ことにドイツには――かなりある。ところがフランスの音楽家らの努力は、自分の各楽句について、すでに他人が用いた旋律《メロディー》の表中にそれがあるかどうかを捜すことであった。自分の鼻をやたらにねじまげて、知ってるいかなる鼻にも似なくなるまで、否まったく鼻だとは見えなくなるまでに、その形を変えてしまうことだった。
 そういうことをもってしても、彼らはクリストフを欺き得なかった。複雑な言葉を身にまとい、
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