――それにまた実は、クリストフはそれを解く鍵《かぎ》を有しなかった。
外国の音楽を理解せんがためには、つとめてその言葉を学ばなければならないし、その言葉を前から知ってると思ってはいけない。ところがクリストフは、一般の善良なるドイツ人と同じく、自分はフランスの言葉を知ってると思っていた。それには恕《じょ》すべき点もある。多くのフランス人自身でさえ、彼以上によくフランスの言葉を理解してはいなかった。ルイ十四世時代のドイツ人らが、フランスの言葉を話すことばかりつとめて、ついに自国の言葉を忘れてしまったのと同様に、十九世紀のフランス音楽家らは、長い間自国の言葉を閑却していたので、彼らの音楽は一つの外国の言葉となってしまった。ようやく近年になって、フランスでフランスの言葉を話そうとする運動が起こった。しかしすべての者がそれに成功することはできなかった。習慣の力はきわめて大きかった。幾人かを除いては、彼らのフランスの言葉はベルギー風だったり、あるいはゲルマン風の臭味を保っていた。それゆえに一ドイツ人が、思い違いをするのももっともであって、自分が理解しないという理由で、これは悪いドイツの言葉でなん
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