落ち着いた短詩《ソンネット》、などを取って来たのであった。
 敬虔《けいけん》なパウル・ゲルハルトのやさしい楽観主義もまた、クリストフを魅していた。それは彼にとって、悲しみから脱したおりの休息だった。神のうちにある自然のその清浄な幻像を、彼は愛していた。砂の上を歌い流れる小川のほとり、白いチューリップや水仙《すいせん》の中を、鵠《こう》の鳥が堂々と歩を運んでる新鮮な牧場、大きな翼の燕《つばめ》や鳩《はと》の群れが飛んでる澄みわたった空気、雨間を貫く日光の楽しさ、雲間に笑う輝いた空、夕の厳《おごそ》かな清朗さ、森や家畜や町や野の休らい、などを彼は愛していた。今もなお新教の教会で歌われてるそれら聖歌の多くを、彼は無遠慮にも音楽に直した。そしてその賛美歌的性質を残すまいと用心した。否残さないだけではなかった。ひどい性質に変えてしまった。それらに自由な生き生きとした表情を与えた。定めし老ゲルハルトは、自分のキリスト教徒の旅人の歌[#「キリスト教徒の旅人の歌」に傍点]のある節から今発している悪魔的な傲慢《ごうまん》心や、自分の夏の歌[#「夏の歌」に傍点]の平和な流れを急湍《きゅうたん》のようにみ
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