な日が、往々あるものである。
管絃楽の曲目には、エグモント[#「エグモント」に傍点]の序曲、ワルトトイフェルの円舞曲《ワルツ》、タンホイゼルのローマ巡礼[#「タンホイゼルのローマ巡礼」に傍点]、ニコライの陽気な女房[#「陽気な女房」に傍点]の序曲、アタリー[#「アタリー」に傍点]の宗教行進曲、および、北極星[#「北極星」に傍点]といふ幻想曲《ファンタジア》、などが含まれていた。管絃楽は、ベートーヴェンの序曲を几帳面《きちょうめん》に演奏し、それから円舞曲《ワルツ》を猛然と演奏した。タンホイゼルの巡礼[#「タンホイゼルの巡礼」に傍点]が奏されてる間に、酒瓶《さけびん》の栓《せん》を抜く音が聞えた。クリストフの隣りのテーブルにすわっていた大男が、陽気な女房[#「陽気な女房」に傍点]の節《ふし》を取りながらフォルスタフの身振りをした。空色の長衣を着、白い帯をしめ、御子《しし》鼻に金の鼻眼鏡をかけ、腕の赤い、胴の大きな、肥満した年増の婦人が、シューマンとブラームスとの二、三の歌曲《リード》を、しっかりした声で歌った。彼女は眉《まゆ》をつり上げ、横目を使い、瞬《またた》きをし、左右に頭をうち振
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