ニア[#「イフィゲニア」に傍点]の初日となった。全然失敗だった。ワルトハウスの雑誌は詩だけをほめて、音楽についてはなんとも言わなかった。他の新聞雑誌では大喜びだった。笑ったり非難したりした。その一篇は三日きりで引っ込められた。しかし嘲笑《ちょうしょう》はそう急にはやまなかった。人々はクリストフを嘲弄《ちょうろう》する機会を得たのでうれしがった。そしてイフィゲニア[#「イフィゲニア」に傍点]は、数週間の間尽きざる笑い事となった。クリストフにもう防御の武器がないことは知れわたっていた。人々はそれに乗じていた。ただ一つ、多少皆を控え目にさしたのは、宮廷における彼の地位であった。大公爵は幾度もくり返して彼に意見をし、彼は少しもそれを意に介しなかったので、両者の関係はかなり冷やかなものになっていたけれども、彼はやはり官邸へ伺候していた。そして一般から見れば、実際以上に大きく見えるのではあるが、とにかく一種の公の保護を受けてるのであった。――がその最後の支持をも、彼はみずから破壊し去ることになった。

 彼は悪評に苦しめられた。その悪評はただ彼の音楽にたいしてなされたのみでなく、また新芸術の形式に
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