、嫌悪《けんお》の渋面をし、テーブルの上に帽子を投げ出しながら、室の奥に行ってすわり、彼らの方へ背を向けた。
 しかしロールヘンは憤然として、百姓らのまん中に飛び込んだ。その美しい顔は真赤《まっか》になり、憤怒《ふんぬ》の皺《しわ》をよせていた。彼女はクリストフを取り巻いてる人々を手荒く押しのけた。
「卑怯《ひきょう》者のより集まり、畜生ども!」と彼女は叫んだ。「お前たちは恥ずかしくないんですか。あの人がみんなやったんだと思わせたがったりしてさ! だれも見てる人がなかったとでもいうような顔をしてさ! 一生懸命になぐりつけた者は一人もいないようなふりをしてさ!……皆がなぐり合ってる最中に、一人でも腕組みをしてぼんやりしてる者があったとしたら、私はその顔に唾《つばき》を吐きかけて、卑怯者、卑怯者、と言ってやったはずですよ……。」
 百姓らは、この意外な叱責《しっせき》にびっくりして、ちょっと口をつぐんだ。それからまた叫びだした。
「彼奴《あいつ》が始めたんだ。彼奴がいなけりゃ、何にも起こらなかったんだ。」
 ロールヘンの父は娘に合図をしていたが、無駄だった。彼女は言った。
「あの人が始めたに違いないとも! それがお前たちの自慢になりますか。あの人がいなかったら、お前たちは馬鹿にされ、私たちも馬鹿にされるところだったじゃないか。意気地なしめ、臆病《おくびょう》者!」
 彼女は相手の男を呼びかけた。
「そしてお前さんは、何にも言わないで、へいへいして、蹴《け》ってくださいとお臀《しり》を出していたね。も少しでお礼でも言うところだったろう。恥ずかしくないんですか。……皆さんは恥ずかしくないんですか。お前たちは男じゃない。勇気と言ったら、いつも地面に鼻をつけてる小羊くらいなものだ。あの人が手本を示してくれたのはもっともです。――そして今になって、なんでもあの人に背負わせたいんでしょう。……いったい、そんなことってあるもんですか。私がさせやしません。あの人は私どものために喧嘩《けんか》をしてくれました。あの人を助けるか、いっしょに祝杯を挙げるかがほんとうです。私はきっぱりそう言います!」
 ロールヘンの父は彼女の腕を引っ張っていた。夢中になって怒鳴っていた。
「黙れ、黙れ!……黙らないか、こら!」
 しかし彼女は父を押しのけて、ますます言い募った。百姓らは叫びたてていた。彼女は鼓
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