の陰険な煽動《せんどう》によるのであった。クリストフの筆戦をよさせようと彼に決心させるためには、これ以外に策はないと彼らは見て取ったのである。そして彼らの見解は至当だった。ワルトハウスはただちに、クリストフには困ると公言し始めた。そしてクリストフを支持することをやめた。それ以来雑誌の同人らは皆、クリストフを黙らせようと工夫した。しかし試みに、餌食《えじき》を食いかけてる犬に口輪をはめてみるがいい! 人々が彼に言う言葉は皆、彼をますます刺激するばかりだった。彼は皆を卑怯《ひきょう》者だとし、すべてを――言わなければならないことすべてを、言ってのけると断言した。同人らが自分を追い払うつもりなら、それは彼らの自由だ。彼らも他人と同様に卑劣であることが、町じゅうに知れるばかりだ。しかし自分は、決して自分の方から出て行くことはしない。
同人らは困却して顔を見合わせながら、マンハイムがこの狂人を連れて来てとんだ厄介を背負い込ましたことを、苦々しく非難した。マンハイムは相変わらず笑いながら、クリストフを制しようと努めた。次の論説からは、クリストフに手加減をさせてみせると誓った。一同はそれを信じなかった。しかしマンハイムがいたずらに高言を払ったのでないことは、事実が証明してくれた。クリストフの次の論説は、礼譲の模範とは言い得ないにしろ、もはやだれにたいしてもなんら無礼な語句を含んではいなかった。マンハイムの手段はきわめて簡単だったのである。一同はなぜもっと早くそれを思い付かなかったかと、あとでみずから驚いたのだった。クリストフは雑誌に書いた自分の文章を、かつて読み返したことがなかった。自分の論説の校正を読むのでさえ、大急ぎでいい加減に目を通すだけだった。アドルフ・マイはこのことについて、刺《とげ》を含んだ穏やかな注意を一度ならず与えたことがあった。一字の誤植も雑誌の名誉を傷つけると言っていた。ところがクリストフは、批評をほんとうの芸術だとは見なしていなかったので、悪評を受ける相手は誤植があっても十分論旨を理解するだろうと、いつも答えていた。マンハイムはこの間の事情を利用したのである。彼はクリストフの意見が正当であると言い、校正のことは校正係の仕事であると言って、自分がその役目を引き受けようと言い出した。クリストフは感謝のあまり恐縮した。しかし一同は口をそろえて、この処置は雑誌にと
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