というものは、退屈してる時にやってくる者ならだれにでも、どんな不愉快な者にでも、自分の眼の力をためしてみて面白がるものである。しかしもう翌日からミンナは、あまりにたやすく征服できる彼に、なんらの興味ももってはいなかった。彼女はクリストフをきびしく観察してしまった。ピアノをひくことは上手《じょうず》だが、きたならしい手をもっていて、食卓ではたまらないフォークの持ち方をしたり、ナイフで魚肉を切ったりする、躾《しつけ》の悪い醜い少年だと、彼を判断していた。それで彼を少しも面白く思っていなかった。彼からピアノを教わりたくはあった。彼と遊ぶこともまあ承知していた。なぜなら、当時他に友だちがなかったし、また、もう子供ではないと自分で言ってる癖に、満ちあふれてくる快活な気分を放散したくてたまらないことが、時々急に起こってくるからだった。しかもその快活な気分は、母親におけると同じく、最近の喪《も》に阻《はば》まれたためさらにつのっていたのである。しかし彼女はもう、家畜ほどにもクリストフを気にかけていなかった。そしてひどく冷淡な日にも、彼にやさしい眼付をすることがまだあったとはいえ、それはまったくうっか
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