にもたがいに手を差出さなかった。
 その暴挙の後、彼らは引きつづいて一週間以上会わなかった。彼らはたがいにきびしく批判し合った。しかし日曜の散歩を一度よして、みずからおのれを懲《こら》してしまうと、非常に退屈になって、恨みを忘れた。クリストフは例のとおり自分の方から申し出た。オットーはそれを承知してやった。そして彼らは仲直りをした。
 二人は気が合わないにもかかわらず、たがいに捨て去ることができなかった。彼らは多くの欠点をもっていたし、二人とも利己主義だった。しかしその利己心は無邪気なものであって、それを厭なものたらしむる成年期の打算をもたなかった。それは自覚しない利己心だった。ほとんど愛すべきものであって、彼らが真面目《まじめ》に愛し合うことを妨げなかった。彼らは非常に愛と献身とを欲していた。少年オットーは、自分を主人公にしたおおげさな献身の物語を考えながら、枕《まくら》の上で涙を流した。悲壮な出来事を想像し出して、その中で彼は、強い勇ましい大胆な者となり、想像的な敬慕の対象たるクリストフを保護してやった。クリストフの方では、麗わしいものや珍しいものを見聞きするたびごとに、「オットー
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