、三のあいずで、四にん組はいっせいに、音楽をやりだしました。ろばはひひんとわめきました。犬はわんわんほえたてました。ねこはにゃおんとなきました。おんどりはこけこっこうと、ときをつくりました。とたんに、まどをつきやぶって、一同《いちどう》へやの中へとびこみました、がらん、がらん、がらん、音をたててガラスはこわれました。
どろぼうどもは、びっくりぎょうてん、きゃあとさけび声をあげてとびあがりました。たいへんな怪物《かいぶつ》がとびこんで来た、そうとよりしか考えません。もうすっかりおびえきって、てんでに、あたまをかかえて、そとの森の中へ、にげだして行きました。
そこで、四人組は、ゆうゆうテーブルにつきました。ごちそうは、のこりものでも、がまんすることにして、それでも、これからあと四週間ぐらい断食《だんじき》してもいいといういきおいで、つめこめるだけ、たらふくつめこみました。
三
さて、四人組の楽隊なかまは、おなかができると、あかりをけして、めいめいのうまれつきとすきずきにまかせて、いいぐあいの寝床《ねどこ》をさがして休みました。ろばはそとのつみごえ[#「つみごえ」に傍点]の上にねました。犬は戸のかげにねました。ねこはへっついの上で、灰のぬくみをさがしてねました。おんどりは、とまり木のかわりに、屋根うらのはりの上にのりました。なにしろ、みんな遠道をして来て、くたびれていましたから、もうさっそくに、ぐっすりねつきました。
真夜中をすぎたときに、どろぼうどもが、とおくからみますと、うちの中にはあかりがともっていず、中はひっそりかんと、しずまりかえっているようでした。
「どうもおれたち、おどかされて、にげだしたといわれちゃあ、がまんできないぞ。」
おかしらはこういって、ひとり手下《てした》にいいつけて、ようすをみせにやりました。
さて、いいつかった手下がはいってみると、家の中はどこもひっそりしていました。そこであかりをつけてみようとおもって、台所へ行きました。すると、やみに光っているねこの目だまを炭火《すみび》とまちがえて、いきなりマッチをつっこみました。ところが、ねこのほうは、おやすいご用とうけてはくれず、ううう、とたけりながら、顔にとびついて、めったらやたらに引っかきました。
いやはや、おどろいたのなんの、手下のどろぼうは、したたかにやられ
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