、わたくしはとおりました。ちょうどそこで、きつねとうさぎが、さようなら、おやすみなさい、をいっておりました。そのとき、わたくしはふと、そのへんに一けん、小家《こいえ》をみつけました。その家の前に、たき火がしてありまして、火のまわりに、それはいかにもとぼけた、おかしなかっこうのこびとが、しかも一本足で、ぴょんぴょこ、ぴょんぴょこ、とびながら、はねまわっておりました。そうして、いうことに、
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きょうはパンやき、あしたは酒つくり、
一夜あければ妃のこどもだ。
はれやれ、めでたい、たれにもわからぬ、
おらの名前は、
ルンペルシュチルツヒェン。
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と、こうもうしておりました。」
 つかいの者の話のなかから、こびとの名前を聞きだしたとき、お妃はまあ、どんなによろこんだでしょう。みなさん、さっしてみてください。さて、そういうそばから、もうそこへ、れいのこびとはあらわれました。
 そうして、「さあ、お妃さん、どうだね、わたしの名前はわかったかい。」と、いいました。
 お妃はわざとまず、
「クンツかな。」
「ちがうわい。」
「では、ハインツね。」
「ちがうわ
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