女《まじょ》が急《きゅう》に高《たか》い声《こえ》を立《た》てた。「何《なん》だって? 私《わたし》はお前《まえ》を世間《せけん》から引離《ひきはな》して置《お》いたつもりだったのに、お前《まえ》は私《わたし》を瞞《だま》したんだね!」
こう言《い》って、魔女《まじょ》はラプンツェルの美《うつく》しい髪《かみ》を攫《つか》んで、左《ひだり》の手《て》へぐるぐると巻《ま》きつけ、右《みぎ》の手《て》に剪刀《はさみ》を執《と》って、ジョキリ、ジョキリ、と切《き》り取《と》って、その見事《みごと》な辮髪《べんぱつ》を、床《ゆか》の上《うえ》へ切落《きりおと》してしまいました。そうして置《お》いて、何《なん》の容赦《ようしゃ》もなく、この憐《あわ》れな少女《むすめ》を、砂漠《さばく》の真中《まんなか》へ連《つ》れて行《い》って、悲《かなし》みと嘆《なげ》きの底《そこ》へ沈《しず》めてしまいました。
ラプンツェルを連《つ》れて行《い》った同《おな》じ日《ひ》の夕方《ゆうがた》、魔女《まじょ》はまた塔《とう》の上《うえ》へ引返《ひきかえ》して、切《き》り取《と》った少女《むすめ》の辮髪《べんぱつ
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