ました。
 おひめさまはしかたなく、かえるをいすにのせてやりました。
 するとかえるがまたいいました。
「どうぞ、わたしを、テーブルの上にのせてください。」
 おひめさまが、かえるをテーブルにのせてやると、こんどは、
「さあ、その金のお皿をずっとわたしのほうによせてください。そうするとふたりいっしょにたべられるから。」といいました。
 おひめさまは、かえるのいうとおりしてやりました。ほんとに、かえるが、ぴちゃぴちゃ、さもおいしそうに舌づつみうってたべているそばで、おひめさまは、ひとくちひとくち、のどにつかえるようでした。
 かえるはたべるだけたべると、おなかをまえへつきだして、
「ああ、おなかがはって、ねむくなった。おひめさま、さあ、わたしをあなたのおへやにつれて行ってください。かわいらしい、あなたのきぬのお床《とこ》のなかで、わたしはゆっくりねむりたい。」
 おひめさまは、もうがまんができなくなって、しくしく泣きだしてしまいました。ほんとに、ぬるぬる、ぴちゃぴちゃ、さわるのもきみのわるいかえるが、おひめさまのきれいなお床《とこ》のなかで、ねむりたいなんていうのですもの、おひめさまがか
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