ぎが、あとから、ちょっちょっと、手ばしこく、もとのようにぬいつけてしまいました。それがいかにも早かったので、おおかみがまるで気がつかないし、ごそりともしないまにすんでしまいました。
おおかみは、やっとのこと、寝《ね》たいだけ寝て、立ちあがりました。なにしろ、胃袋《いぶくろ》のなかは石がいっぱいで、のどがからからにかわいてたまらないので、ふき井戸のところへ行って、水をのもうとしました。ところが、からだを動かしかけますと、おなかの中で、ごろた石がぶつかりあって、がらがら、ごろごろ、いいました。
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がらがら、ごろごろ、なにがなる
そりゃどこでなる、腹《はら》でなる。
六ぴきこやぎのなくこえか、
こりゃ、そうじゃない、ごろた石、
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おおかみは、こううたいました。
さて、やっとこすっとこ、ふき井戸の所まで来て、水の上にかがもうとすると、おなかの石のおもみに引かれて、おおかみは、のめりました。そうして、いやおうなしに、泣き泣きおおかみは、水の中におちこみました。
遠くで見ていた七ひきのこどもやぎは、みんなかけよって来て、
「おおかみ死んだよ
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