ヘンゼルはうんと高く手をのばして、屋根をすこしかいて、どんな味がするか、ためしてみました。すると、グレーテルは、窓ガラスにからだをつけて、ぼりぼりかじりかけました。そのとき、おへやの中から、きれいな声でとがめました。

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「もりもり がりがり かじるぞ かじるぞ。
わたしのこやを かじるな だれだぞ。」
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 子どもたちは、そのとき、

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「かぜ かぜ
そうらの 子。」
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と、こたえました。そして、へいきでたべていました。ヘンゼルは屋根が、とてもおいしかったので、大きなやつを、一枚、そっくりめくってもって来ました。グレーテルは、まるい窓ガラスを、そっくりはずして、その前にすわりこんで、ゆっくりやりはじめました。そのとき、ふいと戸があいて、化けそうに年とったばあさんが、しゅもく杖にすがって、よちよち出て来ました。ヘンゼルもグレーテルも、これにはしたたかおどろいたものですから、せっかく両手にかかえたものを、ぽろりとおとしました。ばあさんは、でも、あたまをゆすぶりゆすぶり、こういいました。

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