ますと、れいのこびとは、三どめにまたやってきて、こういいました。
「さあ、こんどもわらを金につむいであげたら、なにをほうびにくれるえ。」
「あたし、もう、なんにもあげるものがないわ。」と、むすめはこたえました。
「じゃあ、こういうことにしよう。王さまのお妃におまえがなって、いちばんはじめにうまれたこどもを、わたくし[#「わたくし」は底本では「わたしく」]にくれると約束《やくそく》おし。」
(どうなるものか、さきのことなぞわかるものではないわ。)と、こなやのむすめは考えていました。
 それに、なにしろせっぱつまったなかで、なにをほかにどうしようくふうもありません。それで、むすめは、こびとののぞむままの約束をしてしまいました。そうして、こびとは、三どめにまた、わらを金につむいでくれました。さて、そのあくる朝、王さまはやってきてみて、なにもかも、ちゅうもんしたとおりにいっているのがわかりました。そこで王さまは、むすめとご婚礼《こんれい》の式をあげて、こなやのきれいなむすめは、王さまのお妃になりました。
 一年たって、お妃は、うつくしいこどもを生みました。そうして、もうこびとのことなんか、考え
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