かまわず、のばせるだけ足をのばして、たずねさせました。
そのあくる日、こびとはやってきました。お妃は、ここぞと、カスパルだの、メルヒオールだの、バルツェルだの、でまかせな名前からいいはじめて、およそ知っているだけの名前を、かたはしからいってみました。でも、どの名前も、どの名前も、いわれるたんびに、
「そんな名じゃないぞ。」と、こびとは首をふりました。
二日《ふつか》めに、お妃は、つかいのものに、こんどはきんじょを、それからそれとあるかせて、いったい世間《せけん》では、どんな名前をつけているものか聞かせました。そうして、こびとがまたくると、なるたけ聞きなれない、なるたけへんてこな名前ばかりよっていいました。
「たぶん、リッペンビーストっていうのじゃない。それとも、ハメルスワーデかな。それとも、シュニールバインかな。」
でも、こびとはあいかわらず、
「そんな名じゃないぞ。」と、いっていました。
さて、三日めになったとき、つかいのものはかえってきて、こういう話をしました。
「これといって、新しい名前はいっこうにたずねあたりませんでしたが、ある高い山の下で、そこの森を出はずれたところを、わたくしはとおりました。ちょうどそこで、きつねとうさぎが、さようなら、おやすみなさい、をいっておりました。そのとき、わたくしはふと、そのへんに一けん、小家《こいえ》をみつけました。その家の前に、たき火がしてありまして、火のまわりに、それはいかにもとぼけた、おかしなかっこうのこびとが、しかも一本足で、ぴょんぴょこ、ぴょんぴょこ、とびながら、はねまわっておりました。そうして、いうことに、
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きょうはパンやき、あしたは酒つくり、
一夜あければ妃のこどもだ。
はれやれ、めでたい、たれにもわからぬ、
おらの名前は、
ルンペルシュチルツヒェン。
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と、こうもうしておりました。」
つかいの者の話のなかから、こびとの名前を聞きだしたとき、お妃はまあ、どんなによろこんだでしょう。みなさん、さっしてみてください。さて、そういうそばから、もうそこへ、れいのこびとはあらわれました。
そうして、「さあ、お妃さん、どうだね、わたしの名前はわかったかい。」と、いいました。
お妃はわざとまず、
「クンツかな。」
「ちがうわい。」
「では、ハインツね。」
「ちがうわ
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