い力《ちから》があって、世間《せけん》から怖《こわ》がられている一人《ひとり》の魔女《まじょ》でしたから、誰一人《たれひとり》、中《なか》へはいろうという者《もの》はありませんでした。
或《あ》る日《ひ》のこと、おかみさんがこの窓《まど》の所《ところ》へ立《た》って、庭《にわ》を眺《なが》めて居《い》ると、ふと美《うつく》しいラプンツェル([#ここから割り注]菜の一種、我邦の萵苣(チシャ)に当る。[#ここで割り注終わり])の生《は》え揃《そろ》った苗床《なえどこ》が眼《め》につきました。おかみさんはあんな青々《あおあお》した、新《あたら》しい菜《な》を食《た》べたら、どんなに旨《うま》いだろうと思《おも》うと、もうそれが食《た》べたくって、食《た》べたくって、たまらない程《ほど》になりました。それからは、毎日《まいにち》毎日《まいにち》、菜《な》の事《こと》ばかり考《かんが》えていたが、いくら欲《ほ》しがっても、迚《とて》も食《た》べられないと思《おも》うと、それが元《もと》で、病気《びょうき》になって、日増《ひまし》に痩《や》せて、青《あお》くなって行《ゆ》きます。これを見《み》て
前へ
次へ
全15ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
グリム ヤーコプ・ルードヴィッヒ・カール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング