、うれしそうな顔をしていませんね。どうしたの?」と、客間のすみのほうへいくジョウの後についていきました。みんなは、ローレンス氏を迎えるために、そこへ集っていきました。
「あたし、この結婚に不賛成だけど、がまんすることにしたら、一言も反対はいわない。だけど、メグをやってしまうの、どんなにつらいか、あなたにはわからないわ。」と、いったジョウの声はかすかにふるえていました。
「やってしまうんじゃない。半分だけのこることになる。」
「ううん、もとのとおりにはならない、あたしは一ばん大切な友だちをなくしたのよ。」
「だけど、ぼくがいる。たいしてやくにたたないけど、一生きみの味方をする!」
「それや、わかってるわ。ありがたいと思うわ。ローリイ、あなた、いつだって、あたしをなぐさめてくれたわね。」と、ジョウは感謝をこめてローリイの手をにぎりました。
「さあ、いい子だから、うかぬ顔をするのおよし。メグさんは幸福になるし、ブルック先生は就職なさるし、おじいさまはよくめんどうを見てあげる、メグがいっちまったら、ぼくも大学を卒業するしそしたら、いっしょに外国を漫遊するか、どこかへすてきな旅行をしよう。なぐさめになるよ。」
「そりゃ、いいなぐさめねえ、でも、三年のあいだに、どうなるかわからないわ。」
「そりゃそうだが、きみは未来をのぞいて、ぼくたちがどうなるか見たかない?」
「あたし、見たくないわ、なにか悲しいことが見えるかもしれないもの。今はみんな幸福だけど、これ以上、幸福になれると思わないわ。」
 ジョウは、そういって部屋を見まわしましたが、かがやくばかりにたのしそうなありさまに、ジョウの目もかがやきました。
 おとうさんとおかあさんは、二十年前にはじめられたじぶんたちのロマンスの第一章を、心しずかによみがえらしてすわっていました。エミイは、二人の恋人がみんなからはなれて、じぶんたちだけの美しい世界にすわっているすがたを写生していました。ベスは、ソファに横になって、ローレンス老人とたのしそうに語っていました。老人は、ベスの手をにぎりしめ、その小さい手がじぶんを、彼女の歩いて来た平和な道にみちびいてくれるような気がしていました。
 ジョウは、彼女らしい、きりっとしたしずかな表情で、ひくいイスによりかかり、ローリイはそのイスのせにもたれ、あごを彼女のちぢれ毛の頭とならべ、二人をうつしている
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