と、ジョンは、メグの手を握りしめ、愛情をこめて見るので、メグは
「いいえ、いいえ、どうぞおっしゃらないで。」と、やはりこわそうに手をひっこめようとしました。
「ごめいわくはかけません。すこしでもぼくに好意を持って下さるかどうか知りたいだけです。ぼくは心からあなたを愛しています。」
さあ、今こそおちついて、例の文句をいうべきでしたが、すべて忘れ、うなだれて、わかりませんわと答えただけで、それもあまりにひくかったので、ジョンは聞きとるために身をかがめなければなりませんでした。そして、ジョンは、すこしぐらいめいわくをかけてもいいと思ったらしく、満足そうに、
「ぼく、いつか報いられるかどうか、うかがいたいのです。そうでないと仕事もできません。」と、いいました。
「でも、わたしまだわかすぎますから。」
「ぼくは待っています。そのうちに、ぼくを好きになるようになって下さい。ぼくは教えてあげたいのです。これはドイツ語よりやさしいのです。」
ジョンは、懇願するようでしたが、一面、なんとなく、たのしそうで、成功をうたがわぬというような満足そうなほほえみさえうかべていました。メグは、アンニイ・マフォットのことを思いうかべ処女の優越感から気まぐれな気持にかられ、
「わたし、そんな気持になれませんわ。どうぞお帰り下さい。」と、いってしまいました。それを聞いたジョンは、メグのそのふきげんにおどろき、
「本気でそうおっしゃるのですか?」と、部屋から立ち去ろうとするメグを追って、心配そうに尋ねました。
「ええ、あたし、そんなことで気をもみたくありませんわ。父も気にかけないようにといいました。早すぎますし、そんな気になれませんわ。」
「あなたのお気持がかわって来てほしいものです。ぼくは待っています。ぼくをからかわないで下さい。」
「あたしのことなんか考えないで下さい。そのほうが、あたし、けっこうなのです。」
メグは、恋人の忍耐とじぶんの力を試そうとする気味のわるい満足を味わいながらいいました。ジョンは、青い顔になり、いかにもなやましそうでした。この興味ふかい場面に、マーチおばさんが、びっこをひきながらはいって来なかったら、そのつぎにはどんなことが起ったでしょう?
マーチおばさんは、ローリイからマーチ氏が帰宅したことを聞くと、すぐさま甥にあいに馬車をのりつけました。びっくりさせるために案内も
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