ローリイにあいたくなり、返す本をかかえておとなりへ出かけていきました。女中にむかって、
「ローリイさん、いらっしゃいますか?」と、尋ねると、在宅だがあわないでしょうといいます。病気かと重ねて尋ねると、
「いいえ、じつはおじいさまと口論なさいまして、お怒りになって、お部屋へ閉じこもってしまって、食事の支度ができたので、扉をたたいたのですが御返事ありません、おじいさまもお怒りで、まったく、こまっております。」と、いう返事でした。
「あたしいって、ようす見て来ましょう。二人ともこわくないから。」
ジョウはあがっていき、ローリイの部屋の扉をたたき、よせといっても、かまわずたたき、扉を開けたとき、さっととびこみました。そして、床にひざまずき、へりくだって。
「意地わるしてごめんなさい。仲なおりに来たの、仲なおりするまで帰らない。」と、いいました。
ローリイは、すぐに仲なおりして、ジョウを立たせました。だが、まだぷんぷん怒っています。どうしたのか尋ねると、「きみのおかあさんから、だまっていろといわれたことを、しゃべらなかったもので、おじいさんからこづきまわされたのだ。おじいさんは、ほんとのことをいえというが、メグのかかり合いさえなければ、ぼくのやったいたずらだけは、いうつもりだったが、それができないから、だまってがまんしたんだ。だけど、しまいにえり首をつかまえたんで、ぼくはかっとなって、なにをやり出すかわからないので、部屋からとび出したんだ。」
「そうよ[#「そうよ」は底本では「そうを」]、きっとおじいさんも後悔していらっしゃるわ。仲なおりなさい、あたしもいっしょにいってあげるから。」
「だめだ、わるくないのに、二度もあやまるのはいやだ。だいたい、おじいさんは、ぼくをあかんぼあつかいになさる。かれこれ世話をやいてほしくないということを、おじいさんに知らせてやるんだ。」
「では、あなたこれからどうするの?」
「おじいさんがあやまって、ぼくが、どんなことがあったのか話せないといったら、信用してくれればいい。」
「それや、むりだわ。あたしできるだけ説明してあげるわ。あなたも、ここにいつまでもいて、芝居がかったまねをして、なんの役にたつのよ?」
「ぼくは、いつまでも、ここにいるつもりはないよ。そっと家出して、旅行にいっちゃうんだ。おじいさんは、ぼくがいなくて、さびしくなったらわかる
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