って白状なさったそうです。こと重大ではないでしょうか?」
「メグはあのかたを好いていると思いますか?」
「まあ! 恋とかなんとか、そんなくだらないこと、あたしわかりませんわ。小説だといろいろ人目にたつ変化があるわけですが、メグにはちっともそんなことはなく、食べたり飲んだり、ふつうの人のように夜もよくねむりますわ。あのかたのこと、あたしがいっても、あたしの顔をまともに見ますし、ローリイが恋人なんかのじょう談をいっても、すこし顔をあかくするだけです。」
「それでは、メグがジョンさんに興味を持っていないとお思いなのね?」
「だれに?」と、ジョウはびっくりしました。
「ブルックさんのこと。かあさんはあの人のこと、このごろジョンさんといってるんです。病院でそんなふうによぶようになったもので。」
「まあ、そう、おかあさんはあの人のこと、味方するでしょう。あの人はおとうさんに親切にしたんだし、もしメグさんが結婚したいといえば、おかあさんはあの人をしりぞけないでしょう。ああ、いやしい! おとうさんのお世話をして、おかあさんにとりいって、じぶんを好きにさせるなんて。」とジョウはまたいらだたしそうに髪をかきむしりました。
「まあ、そんなに怒らないでね、どういう事情か話してあげます。ジョンさんは、ローレンスさんに頼まれて、かあさんといっしょにいって、つききりで看病して下すったので、あたしたちは好きにならずにはいられませんでした。あのかたはメグについては公正明大で、メグを愛しているが、結婚を求める前にたのしく暮せる家を持てるように稼いでおきたいとおっしゃるんです。あのかたは、メグを愛し、メグのためにはたらくことを許してほしい。そして、もしメグにじぶんを愛させるようになったら、その権利を許してほしいとおっしゃった。あのかたは、りっぱな青年です。かあさんたちはあのかたのいうことに耳をかたむけずにはいられませんでした。けれど、メグがあんなにわかくて婚約するのは不承知です。」
「もちろんですわ。そんなばかな話。なにかわるいこと起ってると思ってました。これじゃ予想していたよりもっとわるいわ。いっそのこと、あたしがメグと結婚して家庭のなかに安全にしておきたいわ。」
このおかしな考えに、おかあさんはほほえみました。けれど、またまじめな顔になって、
「あなたには、うち明けましたが、メグにはいわないで下さ
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