いねむりからさめたとき、その目にうつった最初のものは、小さな白ばらの花と、おかあさんの顔であったということだけを述べておきます。
ベスは、おとろえていたので、まだ気力がなく、ただにっこりと笑って、おかあさんに身をすりよせましたが、また、ひっそりとねむってしまいました。そのあいだに、ハンナのよろこびでつくった朝のすばらしい御飯を、メグとジョウがお給仕しながら、おかあさんがあがりました。あがりながらおかあさんは、おとうさんの容態、ブルック氏が後にのこって看病をしてくれること、帰りの汽車が吹雪でおくれたこと、[#「、」は底本では「。」]ローリイが希望にみちた顔で迎えに出ていてくれたので、つかれと寒さでくたくたになっていたが、口にいえない安心をしたことなどを、ひそひそと話しました。
その日はなんという、ふしぎな気持よい日でしたろう。外はまばゆいばかり、雪に日が照っていましたが、家のなかはおちついて、看病といねむりだけで、安息所みたいでした。ローリイは、エミイにおかあさんの帰ったことを知らせにいきましたが、エミイは一刻も早くあいたいのに、す早く涙をかわかしてその気持をおさえたので、ローリイは一人前の婦人みたいにりっぱな態度だとほめ、マーチおばさんも心から同意しました。そして、エミイは、ローリイに散歩につれていってほしく思いましたが、たいへん疲れているようなので、それもがまんして、ローリイをソファにかけさせて休ませじぶんはおかあさんに手紙を書きました。書きおわってもどってみると、ローリイはぐうぐうねむってしまい、そばにマーチおばさんが、いつになく親切心をあらわして、じっとすわっていました。
ところが、エミイのよろこぶことが起りました。おかあさんが来て下すったのです。おかあさんのひざにすわって苦しかったことをうち明け、それをなぐさめる微笑と愛撫を得たとき、エミイはこの市で一ばん幸福だったでしょう。二人は礼拝堂であいましたが、おかあさんは、エミイのこの思いつきをほめました。
「家へ帰ったら、戸だなのすみに、聖母とあかちゃんの絵をかいてかざるつもりです。イエスさまも前にはこんな小さいあかちゃんだと思うと、そんなに遠くはなれていらっしゃるかたではなく、いつもお助け下さるような気がします。」
おかあさんは、ほほえんでうなずきました。
「ああそうだ。おばさんが、今日キッスしてこれを
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