たので、かぜをひき、マーチおばさんは、なおるまで来るなといいましたので、それをいいことにして休みました。エミイは、家の仕事をやめて粘土細工をやりだしました。メグはキング家から帰ってする針仕事に、あまり身をいれなくなり、ワシントンへ手紙を書いたり、ワシントンから来た手紙をくりかえして読んだりしました。ベスだけは、たいして怠けず、まい日こまごました小さな仕事を忠実にやりました。おかあさんのことがこいしく、おとうさんのことが心配になるようなときは、戸だなへはいってすすり泣き、こっそり祈りました。
おかあさんが出発してから十日後、ベスがいいました。
「メグねえさん、ハンメル家へいって見て来ていただきたいわ。おかあさんはあの人たちのこと忘れないようにと、おっしゃったでしょう。」
すると、メグはあまり疲れたからいけないといいます。そこで、ベスはジョウねえさんに頼むと、かぜをひいているからといってことわりました。
「あなた、どうしてじぶんでいかないの?」と、メグが尋ねました。
「あたし、まい日いってるのよ。だけど、あかちゃん病気していて、どうしていいかわからないの。おばさんは、はたらきにいってしまうし、ロッチェンが看病してるけど、だんだんわるくなっていくようよ。おねえさんかハンナがいかなければだめだと思うわ。」
ベスが熱心にいうので、メグは明日いくと約束しました。
「ハンナに頼んで、なにかおいしいものつくって、もらって持っていっておやりなさいよ。ベス、[#「、」は底本では「・」]外の空気はあなた[#「あなた」は底本では「おなた」]の身体にいいわ。」と、ジョウはいって、また、いいわけらしく言葉をそえました。「あたしもいってあげたいけど、この小説書きあげてしまいたいのよ。」
けれど、ベスは、
「あたし頭痛がしてくたびれているの。たれかいって下さるといいのに。」と、いかにも疲れているようなようすでした。
「エミイが、もうじき帰ってくるわ。あの子に一走りいってもらうといい。」と、メグがいいました。
「では、あたしすこし休んで、エミイの帰るの待っていますわ。」
そういってベスは、ソファに横になりました。メグとジョウは、それぞれの仕事にかかり、一時間あまりたってもエミイは帰りませんでした。ハンナは台所でいねむりをしていました。ベスは、しかたなしに、そっと頭巾をかぶり、かわいそうな子
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