かして、ぼくが一ばんだ。」と、いいました。
 ジョウは、ずるいフレッドにむかって、やり返しました。そして、しばらく戦いましたが、とうとう勝つことができました。
 ローリイは、帽子をほおりあげましたが、お客の敗けたのをよろこんではいけないと気がつき、小声になってジョウにいいました。
「きみ、えらかったぞ。あいつインチキやった。ぼく見てた。みんなの前でいってやることできないが、二度とやらないだろう。」
 メグも、髪をなおすふりをしてジョウをひきよせ、さも感心したというような顔で、
「ほんとに、しゃくだったわ。でも、よくこらえたわ。あたし、うれしかった。」
「ほめないでよ。メグ。今だってあいつの横っ面はりとばしたいくらいよ。もうすこしであのとき、かんしゃく玉がはれつしそうだったわ。」と、ジョウは、フレッドをにらみつけました。
 時計を出して、ブルック先生がいいました。
「さあ、おべんとうにしましょう。兵站総監、きみは火を起させたり、水をくませたりして下さい。マーチさんとサリーさんとぼくとで食卓の支度をするから、たれかコーヒーをじょうずにいれる人はいませんか?」
「ジョウがじょうずです。」と、メグはよろこんで妹をすいせんしました。
 ジョウは、このごろ、料理のけいこをしたので、こんな名誉な役をひきうけられるのだと思いながら、支度にかかりました。そのあいだに、少年たちは火を起し、近くの泉から水をくんで来ました。司令官とその部下は、すぐにテーブルかけをひろげ、食べものや飲みものをならべ、みどりの葉でかざりました。コーヒーの用意ができると、みんな席につきました。食慾はさかんでしたし、まことにたのしく、しばしば起る大きな笑い声は、近くで草を食べているおとなしい馬をおどろかせました。
 食事がすむと、すずしくなるまで、なにか遊びをしようということになり、樫の樹のかげ、すなわち客間へ席をうつしました。
 ケイトが、尻とり話をしようといいました。
「いいですか、たれかが、勝手なお話をはじめるのよ。そして、好きなだけつづけて、おもしろそうなところで、ぷつっときってしまうのよ。すると、つぎの人がそれをつづけ、じゅんに話していくと悲しいのやおかしいのや、ごっちゃになっておもしろいわ。さ、では、どうぞあなたから。」と、ケイトが命令するような調子でいったので、ブルック先生がはじめました。
「むかし
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