して、だまって、心からある祈りをささげ、いかなる父や母よりも、いっそう強いやさしい愛で、すべての世の子供をむかえて下さる「おとうさん」に、近づいていくのでした。
エミイは、眠ったまま、ねがえりをうって、ため息をつきました。ジョウは、今すぐに、じぶんの過失をつぐないたいと思うためか、今までにないまじめな表情をしました。
「あたし、かんしゃくをつぎの日までもち越して、エミイを許さなかった。もしローリさんがいなかったら、とんだことになったんだわ。ああ、どうしてあたしは、こんなにいけないんでしょう?」
ジョウは、エミイの上によりかかり、枕の上のみだれ髪をなでながら、そういいましたが、それが聞えたもののように、エミイはばっちり目を開け、ほほえみをうかべて手をさし出しました。二人はなんともいいませんでしたが、毛布にへだてられながらも、しっかりと[#「しっかりと」は底本では「しっりと」]抱き合い、心こめたキスに、すべてを許し忘れてしまいました。
第九 虚栄の市
四月のある日、メグはじぶんの部屋で、いもうとたちにかこまれながら、トランクに荷物をつめこんでいました。おかあさ
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