んです。ただ、あなたがライムを机のなかにいれていたことは、同情できません。規則をやぶったのですから。」
「ね、おかあさんは、あたしがあんなふうに、人の前ではじをかかされたのを、あたり前と思っていらっしゃるんですか?」
「あやまちを改めさせるのに、おかあさんならば、あんなやり方をしません。ただ、あなたは、このごろ、すこしうぬぼれ[#「うぬぼれ」は底本では「うぬばれ」]が強くなっていくようです。なおさなくてはいけません。あなたは、才能もありいい性質ももっているけど、それを見せびらかしてはだいなしです。へりくだるという気持、それがあなたをぐっと美しくするでしょう。」
そのとき、むこうで、ジョウと将棋をさしていたローリイが大声でいいました。
「そのとおり! 音楽のすばらしい才能をもっていながら、じぶんでは気づかずにいる、あるおじょうさんを、ぼくは知っていますが、その人は、ひとりでいるとき、どんなりっぱな音楽を作曲しているのか知らずにいるし、そのことを人からいわれても本気にしません。」
ローリイのそばに立っていたベスが、それを聞いていいました。
「そんなすてきな方とお友だちになりたいわ。きっ
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