「二十五銭でたりますわ。あまったぶんで、おねえさんにも、ごちそうできますわ、ライムお好き?」
「あまり好きじゃないわ。あたしのぶんもあげます。では、お金、できるだけ長く使うのよ、ねえさんだって、もうそんなにないんですから。」
「ありがとう。お小遣のあるの、いい気持ねえ、みんなにごちそうしてあげるわ、わたしこの週は、まだ一度もライム食べないわ。ほんとは食べたいけど、お返しできないのに、一つでもいただくの気がひけるわ。」
 つぎの日、エミイはいつもよりすこし[#「すこし」は底本では「すこ」]おそく学校へ行きました。けれど、しめった、とび色の紙づつみを机のおくにしまう前に、みんなに見せびらかしてしまいました。すると、それから五分とたたぬうちに、エミイが二十四のおいしいライム(エミイはその一つを学校へ来る途中で食べました。)をもっていて、それを大ぶるまいするといううわさが、たちまち仲間につたわり、お友だちの、エミイへのおせじは、ものすごいものとなりました。ケティはつぎの宴会によぶといいましたし、キングスレイは、つぎのお休み時間まで、時計を貸してあげるといいましたし、ライムをもっていないとい
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