すりよせ、まるでじぶんのかわいい孫娘が、生きかえって来たような気持になりました。ベスは、[#「、」は底本では「。」]そのときから、もう老人をこわがらなくなりました。そして、まるで生れたときから、ずっと知っている人に話すように、やすらかな気持で話しました。なぜなら、愛はおそれをおいのけ、感謝は誇りをおしつぶすからです、ベスが家へ帰るとき、老人は門まで送り、あたたかい握手をしてくれました。そして、いかにもりっぱな軍人らしく帽子に手をかけて、敬礼をし、堂々とひきかえしていきました。
 姉妹たちは、そのありさまを見て、おどろくとともに、うれしくてたまりません。ジョウは、じぶんの満足をあらわすために、おどりあがってダンスをはじめ、エミイはびっくりして、窓からころげおちそうになり、メグは手をあげて叫びました。
「まあ、この世の中は、とうとうおしまいが来たようね!」

          第七 はずかしめの谷

 ある日、ローリイが馬にのって、家の前をむちをふって通りすぎるのを見て、エミイがいいました。
「ローリイさんが、あの馬につかうお金のうち、ほんのすこしでもほしいわ。」
 メグが、なぜお金がい
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