ス。」
「ねえ、ベス、あなた、じまんしてもいいわ! ローリイが話しだけど、おじいさん[#「おじいさん」は底本では「おじいささん」]は、亡くなったお孫さんがすきで、そのお孫さんのものはちゃんとしまっておおきになるんですって。そのピアノを、あなたに下すったのよ。大きな青い目をして、音楽が好きなためよ。」
ジョウは、そういって、今までに見たことがないほど、たかぶって、ふるえているベスを、おちつけようとしました。すると、メグも、
「ごらんなさい。このローソク立て、まんなかに金のばらのあるみどり色の絹のおおい、きれいな楽譜かけに、腰かけと、みんなそろってるわ。」と、楽器を開けて、そのきれいなものを見せながらいいました。
そのとき、
「さあ、ひいてごらんなさいまし、かわいいピアノの音を聞かして下さい。」と、家族のよろこびにもかなしみにも、いつでも仲間入りする女中のハンナがいいました。
そこで、ベスがひきました。みんなは口をそろえて、こんないい音は聞いたことがないといいました。それは、あたらしく調律されて、調子がととのっていました。ああ、なんというすばらしい音色だったでしょう。
「おじいさんと
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