ーリイが、じょうずなのに、ちっとも気どらないので尊敬をよせました。ひきおわってから、あまりほめたのでローリイはまっかな顔をしました。
「いや、ほめるのはもうたくさん。この子の音楽はまずくはないが、もっとほかのだいじなことに、身をいれてもらいたいのじゃ。ああ、もうお帰りか。ありがとう、またお出で、おかあさんによろしく。では、さよなら、お医者のジョウさん。」
老人の握手はかたかったが、なにか気にいらないようすでした。あとで、ローリイにたずねたら、ぼくがピアノをひいたからだといいました。なぜというと、いつか話すといいました。ローリイは、
「また、来てね。」と、名残りおしそうでした。
「あなたが、よくなったら、家へ来るという約束をすれば。」
「ええ、いきます。」
ジョウが帰って来て、のこらず報告すると、みんなもおしかけたくなりました。マーチ夫人は、おとうさんのことを忘れないでいる老人と話したかったし、メグは温室が歩きたかったし、ベスはグランド・ピアノに心ひかれ、エミイはりっぱな絵や彫刻が見たかったのです。
「おかあさん。ローレンスさんは、なぜローリイさんがピアノをひくのをきらうのでしょう?
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