いね。うちのおじいさんほど、きれいではないけど、あたし好きだわ。」
すると、うしろで声がしました。
「どうも、ありがとう。」
ふりかえると、ローレンス老人が立っていたので、ジョウはちぢみあがりました。顔はあかくなり動悸がうちます。逃げ出すのに卑怯だし、ふみとどまることにしたものの、ほんものの老人の目は、肖像画の目よりも、もっとやさしかったので、そんなにこわくなくなりました。
「そうすると、あなたは、わたしがこわくないのかね?」
「そんなに。」
「あなたのおじいさんほど、きれいではないというのだね?」
「ええ、きれいではありませんわ。」
「わしは、意地っぱりかね?」
「そう思います。」
「それだのに、わしが好きだって?」
「ええ、好きです。」
この答えが老人をよろこばせました。老人はジョウの手をにぎり、その顔をのぞきこんで、
「顔はにていなくても、あなたは、りっぱなおじいさんの性質をうけついでいる。おじいさんは勇気があり正直だった。わたしは、あのかたと、友だちであったことを誇りに思っていますわい。」
「ありがとうございます。」
ジョウは、気がらくになりました。
「あなたは、家の子
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