ても、いつもけんかしたり怒ったりしてるから、あたしたちのほうがずっと幸福だっていったじゃないの?」
「ええ、いったわ。あたしたちは、はたらかなければならないけど、ジョウのいうように、たのしいあいぼうですもの。」
「ジョウねえさん、あいぼうだなんてぞんざいな言葉だわ。」と、エミイは、敷物の上にねそべっているジョウのほうを見ていいました。ジョウは、すぐに起きなおって、エプロンのかくしに、りょう手をつっこんで、口笛を吹きはじめました。
「ジョウ、およしなさい。まるで男の子みたい。」
「だから、あたしするの。」
「あたし、下品な、女らしくない子は大きらい。」
「あたし、気どり屋のおすまし、大きらい。」
 すると、仲裁者のベスがおどけ顔で、
「おなじ小さな巣にいる小鳥、いつもなかよしあらそわぬ。」と、うたいだしたので、二人のとがった声も笑い声となりましたが、メグがねえさんぶってお説教をはじめました。[#「ました。」は底本では「しまた。」]
「二人ともいけないわ。それにジョウは、もう男の子みたいなおいたはやめて、しとやかになさいよ。せいも高いし髪もゆってるのですものもうわかい婦人だわ。」
「そんなら二十才まで、おさげにしとくわ。あたし、男の子のあそびごとや仕事や身なりが好きなのに、女に生れてつまらないわ。この頃は、おとうさんといっしょに、戦争がしたくてうずうずしてるのに、家にいてよぼよぼばあさんみたいに、編物をしてるだけなんだもの。」
「かわいそうなジョウねえさん、まあ名前でも男の子らしくして、あたしたちのにいさんになって、がまんしておくんだわねえ。」
 ベスがなぐさめるようにいいました。メグは、またお説教をつづけました。
「[#「「」は底本では欠落]それから、エミイは、気むずかし屋で、かたくるしいわ。今はかわいいけど、気をつけないと大人になったら、がちょうみたいに気どり屋さんになるわ。上品ぶらないときは、しとやかなのも、いい言葉も好きだけど、あんたのませた言葉は、ジョウの下品な言葉とおなじように、よくないわ。」
「ジョウがおてんばで、エミイが気どり屋さんなら、ねえさん、あたしはなあに?」と、ベスはじぶんもお説教されたがって口をはさみました。
「あなたは、かわいい子、ただそれだけよ。」
 メグは、やさしくそういいましたが、これには、だれも反対しませんでした。
 ところで、みなさ
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