から、みがきものでもさせて、お魚をすこし下さいと頼んだの。すると、魚屋さんいそがしいもので、つっけんどんに、だめよといったの。すると、そのときローレンスさんがしおれて帰っていく女に、大きな魚をステッキでひっかけてあげたの。女は、びっくりして、よろこんで、なんどもお礼をいって、ローレンスさんに天国へいけるようにって祈ったの。」
みんなはベスの話を笑いましたが、もちろん心をうたれました。そして、おかあさんにお話をねだりました。
「そうね、おかあさんは、会で青いネルを裁っていたら、おとうさんのことが、みょうに心配になって、もしものことがあったら、どんなに頼りなく、さびしいだろうと思っていました。すると、なにか註文をもっておじいさんが、心配そうな、疲れたようすでやって来ました。身の上を尋ねてみたら四人息子が戦争に出ていて、二人は戦死をし、一人はとりこになり、一人はワシントン病院にいるんですって。そして、これからそこへいくんですって。けれど、すこしもぐちをこぼさないで、よろこんでお国のために、子供たちを出したというのです。おかあさんは、たった一人おとうさんを出してつらがっています。はずかしくなりました。そればかりか、おじいさんは、たった一人ぼっちですがおかあさんには四人も娘がいて、なぐさめてくれます。ほんとに、おかあさんは、じぶんの恵みふかい幸福がありがたかったので、おじいさんに、つつみとお金をあげ、教えていただいた教訓に、心からのお礼をいいました。」
みんなは、この話にも心をうたれました。ジョウは、もう一つ、今のようないい話をと望みました。おかあさんは、にっこり笑って、すぐに話しはじめました。
「むかし、食べたり着たり、なに不足のない四人の娘がありました。たのしみも、よろこびもありあまり、親切なお友達や両親があって、愛されていたのに、娘たちは満足しませんでした。(ここで聞き手たちは、こっそり見かわして、お裁縫に精を出しました)娘たちはよくなろうと決心するのですが、やりとげることができないで、これがあったらとか、あれができたらとかと、考えました。それで、あるおばあさんに、幸福にしてくれるまじないがあれば教えて下さいといいましたら、あなたがたが満足に思うとき、恵みということを考えて感謝なさいといいました。(ここでジョウは、なにかいいたそうでしたが、話がおわらないのでいうのを
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