ひたりながら帰りました。ローリイは馭者台にのったので、メグは痛い足を前に出すことができ、姉妹は気がねなしに話をすることができました。
「あたし、とてもおもしろかったわ。」と、ジョウは髪をかきあげながらいいました。
「あたしもよ、けがするまでは、サーリイさんのお友だちの、マフォットさんという方と仲よしになったのよ。サーリイさんと一週間とまりがけで来るようにといって下すったわ。サーリイさんは、春になってオペラがはじまるといらっしゃるんですって。あたしおかあさんがいかして下さるといいけど。」
メグは元気づきながらいいました。
「おねえさんは、あたしがにげ出したあの赤い髪の人と踊ったのね、あの人、いい人だった?」
「ええ、髪はとび色よ。ていねいな方で、あたし気持よく踊ったわ。」
「あの人、足を出すとき、ひきつった、きりぎりすみたいだったわ。ローリイさんとあたし笑ってしまったわ。あたしたちの笑うの聞えなかった?」
「いいえ、それやぶしつけだわ。あなたたち、そこにかくれて、なにしてたの?」
ジョウは、そこでじぶんたちのやったことを話しました。その話がおわったとき、馬車は家へつきました。姉妹は、あつくお礼をのべて馬車をおり、そっと家へはいりましたが、扉の音で二つの小さな頭がうごき、ねむそうな、けれど熱心な[#「熱心な」は底本では「熱心が」]声がしました。
「ねえ、会の話をしてよ?」
ジョウは、メグのいう、ひどいお作法をやって、妹たちにボンボンをもってきてやりました。妹たちはそれをもらい、その夜の胸のわくわくするような話を聞いて、まもなく寝入ってしまいました。メグは、ジョウは、薬をぬってほうたいをしてもらいながら、
「馬車で夜会から帰り、ねま着のまますわって、女中に世話してもらって、りっぱな貴婦人みたいだわ。」と、いいました。
「あたしたちは、髪の毛をやいたり、服が古かったり、手袋が片方だけだったり、きつい靴をはいてくるぶしをくじいたり、とんまのまぬけだけどね[#「だけどね」は底本では「だけねど」]、たのしかったわねえ。」と、ジョウがいいましたがほんとにそのとおりだったのです。
第四 重い荷をかついで
「やれやれ、またお荷物かついで仕事をはじめるの、なんてつらいんでしょう。」
会のあくる朝、メグはため息をつきました。一週間たのしく遊んだあとで、いやな
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