ってあらわれます。魔女はユーゴーの足音を聞いてかくれます。ユーゴーは二つのコップに魔薬をつぎ、小女に、「これを牢屋にいる囚人にあたえ、わしがすぐに行くと告げよ。」と、いいつけます。家来はそばへいって、なにかを告げる間に、ハーガーは二人のコップを害のないものにかえます。小女はそれを運んでいき、ユーゴーはうたった後に魔薬のはいったほうを飲み、もだえ死にます。そこで、ハーガーは、じぶんのしたことを告げますが、その歌は、一ばんすばらしいできばえでした。
第四幕、ロデリゴが、ザラにうらぎられたと知って、絶望して胸に短刀をつきさそうとします。そのとき部屋の下で歌がうたわれザラの心はかわらないが、今あぶない目にあっているから、ロデリゴにもし真心があるなら、ザラを救いだせると告げます。ロデリゴはよろこび、投げあたえられたかぎで扉を開け、くさりをたち切って愛人を救いに走ります。
第五幕は、ザラと父ドン・ベデロのはげしい争いからはじまります。父はザラを尼寺へやろうとしますが、ザラは聞き入れず、[#「、」は底本では「。」]悲痛な訴えをつづけ、気絶しそうになったとき、ロデリゴがきて結婚を求め、つれていこうとします。父はロデリゴが金持でないのを理由にこばみます。そこへ、家来がハーガからの手紙と袋をもってきますが、手紙にはハーガーは、わかい二人に遺言によって莫大な財産をあたえ、もしザラの父がわかい二人を幸福を妨げるならば、その身におそろしい呪いがかかると書いてありました。そして、袋を開けると、ブリキの金貨がきらめきました。これで、頑迷な領主の心もとけ、わかき二人の結婚を許したので、一同はたのしい合唱をして、感謝のいのりのうちに、愛する二人は、ザラの父の前にひざまずき、祝福をうけるところで幕がおりました。
嵐のような喝采がおこりましたが、上等席のベッドが、きゅうにたたまれ、大さわぎになりました。幸にけがもなく救いだされましたが、そのさわぎのおさまらないうちに、女中のハンナがあらわれ、
「おくさまが、みなさんに、夕飯に階下へ来るようにとおっしゃってです。」と、いいました。
これは、ふいうちで、食卓を見たとき、息がとまるほどおどろきました。だって、アイスクリームが、赤と白と二皿、お菓子、果実、フランスボンボン、そして、食卓の上には、温室咲きの大きな花束がありました。
「妖精が下すったの?」と
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