は、メグにふさわしいほどローリイが大人とは思いません。そんなこと計画するものではありません。」
「では、よします。人間は、頭にアイロンでものせておけば、大人にならないものならいいけど、つぼみは花になるし、子ねこはおやねこになるし、ああ、つまらない。」
 そこへ、書きあげた手紙を持って、メグがそっとはいってきました。
「アイロンとねこが、どうしたの?」
「つまらない、おしゃべりをしてたの。あたし、もうねるわ。いらっしゃいな。」
 おかあさんは、手紙に目をとおして、
「けっこうです。きれいに書けました。ジョンによろしくって、かあさんがいってると、書きそえて下さい。」
「あのかたのこと、ジョンとおよびになりますの?」と、メグはにこにこして尋ねました。
「そうです。あのかたは、家の息子みたいな気がします。あたしたちは、あのかたが、とても気にいりましたよ。」
「そう聞いて、うれしいと思いますわ。あの人、さびしいかたです。おかあさん、おやすみなさいませ。おかあさんが家にいて下さると、口でいえないほど安心ですわ。」
 おかあさんが、メグにあたえたキッスは、やさしく、メグが出ていくと、つぶやきました。
「まだジョンを愛していないけど、まもなく愛するようになるでしょう。」

          第二十一 ローリイのいたずら

 あくる日、ジョウはむずかしい顔をしていました。れいの秘密が心の重荷になったのです。メグはわざと尋ねないで、一人でおかあさんの世話をしました。そして、おかあさんは、ジョウに、あなたは永いあいだ家にとじこもっていたから、外へいって思いきり運動でもしなさいといいました。そこで、ジョウは、ローリイのところへ遊びにいきましたが、このいたずら好きの少年は、ジョウがなにか秘密をもっているのをかぎつけて、本音をはかせようとし、なあにすっかり知っているといったりそんなことは聞きたくないといったり、しつこい努力を重ねたすえに、とうとうその秘密がメグとブルック氏に関することだということをたしかめました。そして、ローリイは、じぶんの家庭教師が、その教え子に秘密をうちあけてくれないのを怒り、無視されたその侮辱に、なにかしかえしをしようと思いたちました。
 ところで、メグにかわったようすがありました。メグは、話しかけられるとびっくりしたり、人から見られると顔をあかめたり、なやましそうな顔
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