わ[#「助かったわ」は底本では「助かったわわ」]。」
「よかったわね。それで、メグねえさん。この休みになにをなさるつもり?」と、エミイが尋ねました。
「うんと朝ねぼうして、なにもしないの。だって冬からこっち、朝早くからたたき起されて、ひとのためにはたらいてばかりいたんですもの。大いに休んであそぶのよ。」
「ふうむ、あたしはそんなだらけたの大きらい。たくさん本を集めておいたから、あの古い林檎の枝の上で、このかがやかしい少女時代をよくするために勉強するの。」と、ジョウがいいました。
「あたしたちも、勉強はやめにして、おねえさんのまねしてあそびましょう。」と、エミイがいうと、ベスも、よろこんで、
「ええ、いいわ。あたし新らしい[#「新らしい」は底本では「新ちしい」]歌をすこしおぼえたいし、人形さんの夏服もつくらなければならないし。」と、いいました。
そのとき、おかあさんが、針仕事の手をやめて、みんなにむかっていいました。
「一週間、はたらかないであそんでごらんなさい。土曜日の晩になると、つまらないということが、きっとわかるでしょう。」
「そんなことありませんわ。とてもうれしいわ。きっと。」と、メグがいいました。
「ねえ。わが友、祝杯をあげましょうよ。あそびは永久に! あくせくしっこなし!」と、ジョウはレモン水がいきわたったとき、そのコップを高くささげてさけびました。
みんなはたのしそうに飲みほしました。そのときから、ぶらぶらあそびがはじまりました。あくる朝も、メグは十時までねどこのなか。ジョウは花瓶に花もささず、ベスはそうじをしないし、エミイの本はちらかったまま、ただ「おかあさんの領分」だけが、きちんと片づいているだけでした。この部屋では、メグは、休息も読書もできず、あくびが出るばかり、給料で夏のどんなドレスが買えるかなどと考えるのでした。ジョウは、午前のうちはローリイと川へボートこぎにいき、今後は林檎の木の上で「広い世界」という物語を涙を流して読みました。ベスは、戸だなをかきまわし、そのままにして、ピアノへ気をうつしていきました。エミイは、じぶんの花園のスケッチをはじめました。それから散歩にいきましたが、夕方になってぬれねずみになって帰って来ました。
お茶のとき、四人はその日のことを、いろいろ話し合いましたが、たのしかったけれど、いつになくその日は、永く感じられた
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