どりををどりました。
みんなは、かういふ歌をくりかへし/\歌ひながら、面白さうに、おほさわぎをしてをどりました。
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「番人さん/\、
お前のお汁《しる》にや塩気がない。
塩気がない。
そこらのだれかに借りといで、
貸さなきや、蹴《け》つておやりなさい。
じやん/\じやん、
じやん/\じやん。」
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と、鐘の音のまねをして、鳴らない鐘をつく番人をさん/″\にからかつていきました。
三
或《ある》晩、番人のおぢいさんは、神さまが、湖水の下の妖女《えうぢよ》の王の御殿へつれてつて下すつて、盗まれた鐘がかくしてあるのを見せて下すつた夢を見ました。番人は、ふしぎな夢を見たものだと思つて、みんなに話しました。村中の人は、それを聞いて、そんなら、あの鐘はきつと湖水の底にしづんでゐるにちがひないと言ひました。
だいたんな若ものたちは、その鐘をとり出して来ると言つて、代る/″\湖水のそこへもぐりこみました。しかし、みんな水の下へはいつたきり、一人も浮き上つたものがありませんでした。それは、いたづら好きな妖女たちが、人が水の中へはいつて来ると
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