子は、金の窓のことを女の子に話しました。女の子は、
「ええ、私もまいにち見ていますわ。でも、それは、あっちの方にあるんですよ。あなたはあべこべの方へ来たんですわ。」といいました。
「いらっしゃい。こっちへ来ると見えるのよ。」と、女の子はお家のそばの、すこしたかいところへ男の子をつれていきました。そして、金の窓は見えるときがきまっているのだといいました。男の子は、ああきまっている、お日さまがはいるときに見えるのだと答えました。
 二人は小だかいところへ上りました。女の子は、
「ああ、今ちょうど見えます。ほら、ごらんなさい。」といいながら、向うの岡の方をゆびさしました。
「ああ、あんなところにもある。」と男の子はびっくりして見入りました。しかし、よく見ると、それは岡の上のじぶんの家でした。男の子はびっくりして、私はもうお家へかえるといい出しました。そして、もう一年もだいじにポケットにしまっていた、赤いすじが一すじはいった、白い、きれいな小さな石を、女の子にやりました。それから、とちの実を三つ、びろうどのようなつやのある、赤いのと、ぽちぽちのついたのと、牛乳のような白い色をしたのと、その三つをやりました。そして、またこんどくるからといって、おおいそぎで走ってかえりました。女の子は、男の子があわててかけてかえるのを、びっくりして見おくっていました。きらきらした夕日の中に、いつまでも立って見ていました。
 男の子は、息をもやすめないで、どんどん走ってかえりました。しかし道がずいぶんとおいのでお家へついたときには、もうすっかり暗くなっていました。
 じぶんのお家の窓からは、ランプのあかりと、ろ[#「ろ」に傍点]のたき火とが、黄色く赤く見えていました。ちょうど、さっき岡の上から見たときとおなじように、きれいにかがやいていました。男の子は、戸をあけてはいりました。お母さんは立って来て、頬《ほお》ずりをしてむかえました。小さな妹も、よちよちかけて来ました。お父さんはろ[#「ろ」に傍点]のそばにすわったまま、にこにこしていました。お母さんは、
「どこへいって来たの? おもしろかった?」と聞きました。
「ええ、ずいぶんゆかいでしたよ。」と男の子は、うれしそうにいいました。
「何かいいことをおぼえて来たかい?」とお父さんが聞きました。
「私は、じぶんたちのこのお家にも、金の窓がついていると
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