ね。」と言って、クシャンと、くしゃみをしました。するとその兵たいは、ぱたんと鼻の穴からふきとばされて、馬と一しょにころ/\ころがりながらにげていきました。
 御殿では王子と王女との御婚礼の式をあげることになりました。
 それで、王女のお父さまの王さまにも来ていただかないといけないというので、王子はいそいで長々《ながなが》をおつかいに出しました。長々は例の足でひょい/\/\と、一どに一里ずつまたいで、じきに向うの王さまの御殿へ着きました。
 見ると、さっきの兵たいたちは、馬でにげて行ったくせに、まだ一人もかえりついていませんでした。
 長々は先に着いたのを幸《さいわい》に、王さまに向って、兵たいの大将の命を許しておやりになるように、よくおねがいしてやりました。それでないと、大将は王女をとりかえさないで空手《からて》でかえって来たばつに、きっとくびをきられるにきまっていました。
 王さまは、王女のお婿《むこ》さんがそういう立派な王子だったと聞くと、おおよろこびで、すぐにおともをつれて、王子のところへ出ていらっしゃいました。それで御婚礼の式もとどこおりなくすみました。
 王子をたすけていろんな大てがらをした、ぶくぶくと長々と火の目小僧の三人は、大そうなごほうびをもらいました。



底本:「鈴木三重吉童話集」岩波文庫、岩波書店
   1996(平成8)年11月18日第1刷発行
底本の親本:「鈴木三重吉童話全集」文泉堂書店
   1975(昭和50)年9月初版発行
入力:今泉るり
校正:Juki
2000年2月15日公開
2005年12月27日修正
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