しの時分と、大差はなかつた。とりわけ違ふのは、其家々の神々に仕へると言ふ、誇りはあるが、小むつかしい事がつけ加へられて居る位のことである。外出には、下人たちの見ぬ樣に、笠を深々とかづき、其下には、更に薄帛を垂らして出かけた。
一《イツ》時たゝぬ中に、婢女《メヤツコ》ばかりでなく、自身たちも、田におりたつたと見えて、泥だらけになつて、若人たち十數人は、戻つて來た。皆手に手に、張り切つて發育した、蓮の莖を抱へて、廬の前に竝んだのには、常々くすり[#「くすり」に傍点]とも笑はぬ乳母《オモ》たちさへ、腹の皮をよつて切《セツ》ながつた。
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郎女《イラツメ》樣。御|覽《ラウ》じませ。
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竪帳《タツバリ》を手でのけて、姫に見せるだけが、やつとのことであつた。
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ほう――。
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何が笑ふべきものか、何が憎むに値するものか、一切知らぬ上※[#「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1−91−26]《ジヤウラフ》には、唯常と變つた皆の姿が、羨しく思はれた。
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この身も、その田居とやらにおり立ちたい
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