本語の動詞に就いて、「私等がラテン語やギリシヤ語を勉強するとき、一番むづかしさを感ずるのは働きの語の變化でありますが、日本語に於ても四段變化、上二段、下二段、上一段、下一段變化のやうに多くの種類の働きの語があることが、日本語を非常にむづかしくして居ります。私は『住居する』、『組織する』、『教育する』、『勉強する』、『記録する』のやうに、『し――する――すれ』と尾の部分が變化する働きの語を二百ばかり取り入れ、それを規則的變化の働きの語とし、その他の働きの語の數をできる限りすこしにすることにより日本語をたやすくしました。……右にいつた考へにより私は五十ばかりのサ行變化ではない働きの語を取り入れました。しかし次のやうなし方によれば働きの語の數は『する・なる・もつ・行く・置く』のやうな、この上もなく單純な二十ばかりになります。思ふ――考へになる、知る――知識をもつ、書く――書きものをする、飛ぶ――空を行く、泳ぐ――泳ぎをする、買ふ――買ひものをする、出す――そとへ置く、入る――うちに行く、このやうに働きの語を名の語にして使用することは西洋の人には便利でせうが、日本人にはその必要がありません。
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