うな声で言った。「もうだめだ、なおこのうえ大地を汚させておいてよいとおっしゃるんですか」片手で長老を指しながら、彼は一同を見回した。彼のことばはおだやかで整然としていた。
「聞きましたか、お坊さんがた、父殺しの言うことを聞きましたか!」と、フョードルはだしぬけに今度はヨシフ神父に食ってかかった。「これがあなたの『恥ずかしいこと』に対する返答ですよ! 何がいったい恥ずかしいことです? あの『売女《じごく》』は、あの『卑しい稼業の女』は、こうしてここで行ない澄ましてござるあなたがたより、ずっと神聖かもしれませんよ! 若い時分には周囲の感化で堕落したかもしれないが、その代わりあの女は『多くのものを愛し』ましたよ。多く愛したるものは、キリストもお許しになりましたからな……」
「キリストがお許しになったのは、そのような愛のためではありません……」温順なヨシフ神父もこらえきれないで、思わずこう言った。
「いいや、お坊さんがた、そういう愛のためです。てっきりそういう愛ですとも! あなたがたはここでキャベツの行をして、それでもう上人だと思っていなさる! ※[#「魚+夫」、139−2]《かまつか》を食べ
前へ 次へ
全844ページ中206ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
中山 省三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング