おける、いっさいの進歩の頂上に立っていたのに、この青二才が思いきりわれわれを軽蔑《けいべつ》してやがる』と彼は肚《はら》の中で考えた。さっき、椅子にじっと腰をおろして、口をつぐんでいることを誓ったフョードル・パーヴロヴィッチは、本当にしばらくのあいだは口を開かなかったが、人を小ばかにしたような薄笑いを浮かべて、隣りに坐っているミウーソフをじろじろ眺めながら、そのいらいらした様子にすっかり喜んでしまっている様子であった。彼はずっと前から何か敵《かたき》を討ってやろうと待ち構えているのだから、この好機会を見のがすことはできなかった。とうとうしんぼうがしきれなくなって、ミウーソフの肩へかがみこみながら、小声でもう一度彼をからかった。
「あんたがさっき『いとしげに接吻しぬ』の後ですぐ帰らないで、こうした無作法な仲間といっしょに踏みとどまるようになられたのはどういうわけでしょうな? それはほかでもない、あんたは自分が卑しめられ、侮辱されたような気がするものだから、その意趣返しに、一つ利口なところを見せつけてやろうと思って踏みとどまったのでがしょう。もうこうなっては、利口なところを見せないことには
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