梓の時機遅れたるを憾みとす。
 東京、東京、その名の何すればしかく哀しく美くしきや。われら今高華なる都会の喧騒より逃れて漸く田園の風光に就く、やさしき粗野と原始的単純はわが前にあり、新生来らんとす。顧みて今復東京のために更に哀別の涙をそそぐ。
  大正二年 初夏
[#地から7字上げ]相州三崎にて
[#地から2字上げ]著者識



底本:「白秋全集 3」岩波書店
   1985(昭和60)年5月7日発行
※底本では一行が長くて二行にわたっているところは、二行目以降が1字下げになっています。
入力:飛鷹美緒
校正:小林繁雄
2009年4月18日作成
青空文庫作成ファイル:
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